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森林ファンド1000億円構想、林業の資金不足は解消するか

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ニュースの概要

金融機関、商社、ゼネコンが、国内の森林を投資対象とする「森林ファンド」の設立に向けて協議していると報じられた。規模は約1000億円で、実現すれば国内初の本格的な枠組みとなる。森林は長く所有者の高齢化や担い手不足に悩まされてきたが、そこに民間の大型資金が入る形になる。狙いは木材の販売だけでなく、二酸化炭素の吸収量を取引に使うことや、建築用の国産材を安定して確保することにあるとみられる。参加が見込まれる業種が多岐にわたる点も特徴で、森林を巡る資金の流れが大きく変わる可能性がある。

引用元: 国内初の「森林ファンド」、1000億円で何が変わるのか…金融・商社・ゼネコンが協議する投資の中身(ビジネスジャーナル)

分析・見解

1000億円は大きいが森林全体から見れば限られる

日本の森林面積は約2500万ヘクタールで、国土の3分の2を占める。このうち民有林は約6割にあたる。1000億円という額は大きく見えるが、仮に1ヘクタールあたり数十万円で取得できたとしても、買える面積は全体のごくわずかにとどまる。

つまり、このファンドは森林を広く買い集める装置ではない。条件のよい場所を選んで集約し、手を入れやすい形に整える役割を担うことになる。道路が近く、傾斜が緩く、まとまった面積を確保できる林地が中心になるだろう。

収益源は木材だけでなく三つの柱に分かれる

林業は植えてから伐るまでに40年から50年かかる。木材の販売だけで投資家に利回りを返すのは難しい。そこで収益を複数に分ける発想が必要になる。

一つ目は木材の販売益である。二つ目は森林が吸収する二酸化炭素を「クレジット(=排出削減量を売買できる権利)」として売る収益である。三つ目は、ゼネコンが自社の建築で国産材を使うことで得る調達の安定である。この三つ目は数字に表れにくいが、参加企業にとっては最も実利が大きい可能性がある。

海外の森林ファンドが示す成功と失敗の分かれ目

米国では、年金基金などが木材投資の運用会社(TIMO)を通じて森林を保有する形が20年以上前から根づいている。ニュージーランドやチリでも似た仕組みがある。ただし、成功例の多くは、広い平地に同じ樹種を植える大規模な林業が前提だった。

日本は山が急で、所有者が細かく分かれている。この条件では、海外と同じ利回りは見込みにくい。むしろ重要なのは、境界の確認や間伐の計画を誰が担うかという運営面である。資金が集まっても現場が動かなければ、ファンドは絵に描いた餅になる。

見落とされがちな視点は伐採後の再造林の費用

日本の林業では、木を伐った後に苗を植え直す費用が大きな負担になる。この費用が出せずに、伐採した山が放置される例は少なくない。

ファンドが長期で森林を保有するなら、再造林を投資計画に最初から組み込める。これは小規模な所有者にはできない強みである。木を伐って売るだけでなく、次の世代の森を育てるところまで資金を回せるかどうかが、このファンドの社会的な評価を左右するとみている。

ビジネスへの影響

木材や建築に関わる企業は調達の見直しを始める時期

建築、住宅、家具、製紙など木材を使う企業にとって、国産材の安定調達は価格だけでなく供給の確実性が課題である。ファンドが森林の集約を進めれば、一定量の木材を長期契約で買える窓口ができる可能性がある。

実務としては、自社が年間でどの樹種をどれだけ使っているかを整理しておくとよい。ファンド側との協議が始まったとき、具体的な数量と規格を示せる企業が優先的に話を進められる。

脱炭素の開示を迫られる企業は森林クレジットを選択肢に入れる

上場企業を中心に、温室効果ガスの削減状況を開示する流れが強まっている。自社の努力で減らしきれない排出分を、森林由来のクレジットで補う方法がある。

ただし、クレジットは質に差がある。吸収量の算定方法が明確か、伐採や火災で効果が失われた場合の扱いはどうかを確認する必要がある。価格だけで選ぶと、後から説明に窮するおそれがある。

林業事業者と地域の自治体は連携の条件を早めに整える

森林組合や林業事業者にとっては、ファンドは仕事を増やす発注元にもなり得る。一方で、現場の判断を握られると利益が薄くなる懸念もある。

自治体は、森林の所有者情報や境界の整理を先に進めておくと有利になる。投資家が最も嫌うのは、権利関係が曖昧な土地である。地域の情報整備が、結果として資金を呼び込む条件になる。

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